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現況測量の費用相場~やり方・図面の見方まで徹底解説!

測量
更新日時:2021年11月11日
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 執筆者  
土地家屋調査士 田中優輝


測量には色々な種類があります。この記事ではその中の一つ「現況測量」ついて徹底解説します。現況測量図の見方も書いていますので、是非最後までご覧になってみてください。
 測量登記の一括見積 

 目次  この記事の見出し一覧 
  • 1つめの項目
  • 2つめの項目
  • 3つめの項目

測量には、大まかに分けて3つの種類がある。そのうちの1つとされているのが「現況測量」だ。土地売買における確かな情報として利用される「確定測量」に対し、簡易的に作成できるおおまかな測量ととらえると分かりやすい。
というのも、土地売買などを考え確定測量を行う際、その手順の一つとして現況測量が行われることが多いからだ。土地境界を示す境界杭や、境界杭がなければブロック塀や建物を基に、おおよその寸法や土地のボリュームなどを測定する現況測量を行い、その後にその現況測量の情報を用いて隣地の土地所有者や道路の所有者である官立ち合いのもと確定測量を行うことが多い。
そのため、現況測量図は「仮測量図」と呼ばれることも多い。

確定測量と違い隣地所有者や官の立ち合いと承認を得られていないので、土地情報として信頼性は落ちるが、その分費用や手間がかからないというメリットもある。また、土地の現況を図面化する作業でもあるので、「この土地にどのような建物を建設できるのか」という判断などに用いられる情報も現況測量から得られる。
整地なのか斜面なのか、土地の高低差がどうなっているのかや、真北がどちらにあたりどのような日照制限が起きるのかなど、ただ土地の広さだけでなく建物を建設するうえでどのような価値があるのか判断できるのが現況測量と言える。

土地情報としての信頼性は確定測量より落ちるが、道路などと面しており官の立ち合いが必要になる場合は土地境界の承認が下りるのに数か月を擁してしまうこともあるため、官から承認が下りることを前提とした現況測量図の状態で土地の売買のやり取りを行う不動産も珍しくない。
ただ、隣地の所有者による承認が下った確定測量図でないと売買契約の正式な書類にはならないのでその点のみ注意したい。

また、土地が広大であったり地積測量図の提出が行われ始めた昭和より前の年代から代々受け継がれている土地の場合、確定測量を行わずに土地の売買や相続、分配が行われていることもある。隣地との境界を承認し合うのが難しかったり、そもそも隣地の所有者や代理人が見つからなかったりすることも多いうえに、売買価格より測量費用の方が上回ってしまうなど、理由は様々だ。
このような場合も、確定測量ではなく簡易的な現況測量を用いられることがある。どちらにせよ、現況測量は土地の売買に欠かせない重要な測量であると判断できる。


 

2.現況測量の費用相場

測量の費用に関しては、まず土地の状況、境界杭の有無、立会人の人数などによって大幅に変動してしまうため不変的な相場を出しにくいという現状を把握する必要がある。
そのうえで現況測量の相場を出すとすれば、100平方メートル以下の土地に対し~100,000円というのが平均的な費用となる。

前述の通り、現況測量は隣人や官の立ち合いが不要のため確定測量より費用を抑えられるというのがメリットの一つである。
確定測量の場合、官の立ち合いと査定を省略した際に350,000円~、官の立ち合いと査定を含めたら600,000円~という価格が相場とされている。
確定測量は不要で、自身の所有している土地がおおよそ何坪か、何平方メートルなのかを知りたいという場合は安価な費用で済む現況測量のみを行うのがおすすめだ。


 

3.現況測量の方法・手順

まず、測量を行うには測量士や土地家屋調査士への依頼が必要となる。この2つの資格は似ているようで詳細が異なるため、自身の測量の目的によって依頼先を考える必要がある。
登記を前提とし測量を行う場合であれば、登記まで行える土地家屋調査士への依頼が必要だ。しかし、登記を目的としない測量を土地家屋調査士は行えないため、工事などで測量が必要となる場合は測量士への依頼となる。

自身で信頼できる測量士、土地家屋調査士を探す方法もあるが、不動産売買などを目的としている際は測量士や土地家屋調査士を不動産が紹介したり依頼の取次を行ってくれることも多い。
また依頼先によっては高額を提示されたり長期の作業期間を提示されることもあるので、その場合は数社に対し見積もりを取って依頼する業者を比較するのがおすすめだ。

依頼する測量士、土地家屋調査士が決まったら、次は資料の取り寄せを行う。法務局から取り寄せることのできる登記簿謄本や公図、売主が提出した境界確定資料地積測量図や過去に起きている境界トラブルの有無などを調査し、実際の測量に入る。
測量士などに依頼をする際、これらの資料がないと見積もりが行えないという業者も多くあるので、この資料取り寄せと依頼先の業者探しは並行して行えるといいだろう。

これらの準備が済んだら、実際に土地に来てもらい測量を行っていく。実際の測量に入る前、もう一つの事前準備として日程が決まり次第隣家への挨拶を忘れないでおきたい。境界線を調査するため隣家の敷地に付近で作業が必要になってしまうことと、現況測量の後に確定測量を行う場合は隣地の所有者の立ち合い・承認が必要になるため、事前に説明と挨拶を行うことで回避できるトラブルがあるからだ。

実際の現況測量において測量のやり方や使用する機械などは業者によって異なるが、よほど複雑な建物や広大な土地でない限り、作業は一日と見ていて問題ない。
その後、測量を行った結果が最短翌日から図面に書き起こされる。この図面を基に各土地所有者の立ち合い、承認による確定測量が行われるため、現況測量はここで終了となる。

まとめると、依頼業者探し及び資料集め、隣家人など関係者への挨拶、実際の測量、図面の受け取り、というのがおおまかな現況測量を行う方法と手順である。


 

4.現況測量図の見方

現況測量図とは、その土地の状況を示した図面である。つまり、どこにどのような建物が横幅何メートルで建設されているのか、どこに何メートル分ブロック塀が並べられているのか、どのように水路が流れているのか、どこに境界杭が打ち込まれているのかなどを示した図面ということだ。
それ以外にも詳細を記載してくれる業者であれば、水道管やガス栓の位置、地盤や建物の高低まで細かく記載を行っている。法務局の指定の書き方で記載が行われた公図と異なり、現況測量図の書き方は業者や機材ごとにフォーマットが異なっているため正確で絶対的な見方を示すことはできないが、基本的には「その土地を真上から見た図」と認識して問題ないだろう。
境界杭や水道管などを示す言葉や記号など、測量図面をパッと見たときに判断できなければその業者独自の記号や表し方が使用されている可能性が高いので、その際は依頼を行った業者に問い合わせを行う必要がある。


 

5.まとめ

現況測量とは、その土地に何が建っているのか、境界杭の位置やブロック塀、地盤の高低などを示す図面を書き起こすのに必要な測量である。
この現況測量図面を基に、隣地や官と境界線の承認を行うため、確定測量に対し現況測量は仮測量と呼ばれる場面も多い。確定測量のために現況測量を行うというケースが一般的だ。

費用相場は100平方メートルの土地に対し~100,000円ほどとなっており、隣地や官の立ち合いが不要な分確定測量に比べ安価なのが特徴的だ。
現況測量を行いたい場合、まずは測量士か土地家屋調査士への依頼と法務局などから資料の取り寄せが必要となる。その後、隣地の所有者などに挨拶を行い、実際に土地の測量を行うというのが現況測量の流れである。

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